ワインを選ぶとき、「産地」に注目したことはありますか?
フランスやイタリアに並ぶワイン大国・スペインにも、実はとても厳格な「原産地呼称制度(Denominación de Origen=DO)」があり、ワインの品質と個性を守る重要な役割を果たしています。

今回はそのスペインの原産地呼称制度と、当社でも取り扱っている希少な「Priorat(プリオラート)ワイン」についてご紹介します。
初めて聞いた方でも、「なるほど、ワインって奥が深い!」と思っていただけるはずです。
スペインワインと原産地呼称制度の始まり
スペインはぶどう栽培面積が世界最大を誇るワイン大国です。
しかしその歴史の中では、低品質なワインの混入や価格競争の影響で、地元の高品質ワインが埋もれてしまう時期もありました。

そんな中、地元ワインの品質を守るために、18世紀に最初のワイン規制法が誕生。
さらに1920年代に入ると、特に優れたワイン産地を保護するための指定制度が始まりました。
最初にその栄誉を受けたのが「リオハ」。
続いて「ヘレス」「マラガ」などが選ばれ、これが現在の原産地呼称制度の起源です。
その後、1970年代には法令整備も進み、現在のように詳細な基準のもとで「DO(Denominación de Origen)」の称号が与えられるようになりました。
DO制度は7つに分類されている!
スペインの原産地呼称制度は、品質や地域の特徴によって7つの階層に分かれています。
① ビノ・デ・パゴ(Vino de Pago)
個別の単一畑で造られる、いわば「カリスマ的」存在の高級ワイン。
DOやDOCに属さない地域でも、特別な環境と品質が認められた畑が対象です。
② デノミナシオン・デ・オリヘン・カリフィカーダ(Denominación de Origen Calificada:DOCa)
最も格上のカテゴリー。厳格な品質基準を長年クリアしてきた産地だけが名乗れます。
現在はリオハとプリオラート(Priorat)の2地域のみ。
③ デノミナシオン・デ・オリヘン(Denominación de Origen:DO)
原産地呼称制度の中核。地域内の認可品種・製法に基づいて造られたワイン。
スペイン国内には現在60以上のDOが存在します。
④ ビノ・デ・カリダ・コン・インディカシオン・ヘオグラフィカ
地域限定で高品質と認められた、将来のDO候補となるカテゴリー。
2003年に制定され、より地域性に根ざしたワイン造りが進められています。
⑤ ビノ・デ・ラ・ティエラ(Vino de la Tierra)
いわゆる「カントリーワイン」。DOのひとつ下の階層に位置する、比較的自由なスタイル。
⑥ ビニェードス・デ・エスパーニャ
安価な輸入品と区別するため、2006年に新設されたカテゴリー。
一部の銘醸地域では使用が制限されています。
⑦ ビノ・デ・メサ(Vino de Mesa)
いわば「テーブルワイン」。産地や品種の表記が許されない、格付け外のワインです。
DOCaに認定された希少な地域「Priorat(プリオラート)」

DOCaに認定されているのは、実はスペイン全土でもわずか2地域だけ。そのひとつが「Priorat(プリオラート)」です。
スペイン北東部カタルーニャ州の山岳地帯に位置し、厳しい環境が生み出す凝縮感とミネラル感のある力強い赤ワインが特徴です。
急斜面の畑で、手作業で収穫されるブドウから丁寧に造られたワインは、まさに芸術品のような存在。
そして、Amettler(アメトリェール)社のワインへ…
当社では、Prioratの中でも生産量が極めて少なく、日本国内ではほとんど流通していない「Amettler社」のワインを取り扱っています。
Prioratのテロワールを最大限に表現したAmettlerのワインは、凝縮された果実味・奥深い香り・シルキーなタンニンが見事に調和した、まさに特別な一本。
最後に

スペインワインの世界は奥深く、知れば知るほど味わいにも深みが出てきます。
原産地呼称制度の歴史や階層を少しでも知ることで、ワイン選びがもっと楽しくなるはずです。
ぜひワイン会では、Amettler社の希少なPrioratワインを味わいながら、スペインワインの魅力を体感してください。
きっと、これまでにない「一本」との出会いになるでしょう。