スペインワインの代表格といえば、
まず名が挙がるのがリオハ(Rioja)。
グラン・レセルバといった格付けや、
長期熟成を経た複雑な味わいに、
ワイン通なら一度は
惹かれた経験があるかもしれません。
でも、スペインワインの奥深さは
“リオハで止まらない”のです。
それを教えてくれるのが、
プリオラート(Priorat)という名の産地。
では、高級リオハとプリオラート。
何がどう違うのか?
今日はその違いを、
味・歴史・土地・造り手の哲学
から掘り下げてみましょう。
🍷 1.味わいのスタイルが違う

リオハの高級ワインは、
なめらかなタンニン、熟した果実、
バニラやスパイスの香り。
長期熟成を経て
まろやかに調和した味わいが特徴です。
ボルドースタイルに近い、
洗練された“貴族的な赤”。
一方プリオラートはというと——
第一印象は、
圧倒的な密度感と鉱物的な重厚さ。
果実の凝縮感が力強く、
ブラックチェリーやプラム、シナモン、黒鉛、火打石
のようなニュアンスまで顔を出します。
つまりリオハが
「優雅に語りかけるワイン」だとすれば、
プリオラートは
「沈黙の中で圧倒的な存在感を放つワイン」なのです。
🏞 2.土地(テロワール)が違う

リオハは、
広大で比較的なだらかな丘陵地帯。
土壌も粘土質や石灰質、
比較的肥沃で生産効率も高めです。
プリオラートは、まるで逆。
切り立った山岳地に広がる急斜面の畑。
ブドウ畑はまさに崖のような傾斜にあり、
土壌は“リコレリャ”と呼ばれる
黒い粘板岩と石英の混じる硬質な岩盤。
このリコレリャこそが、プリオラートに
唯一無二のミネラル感と張り詰めたエネルギー
を与えているのです。
根は岩盤の割れ目を探して20メートル以上も伸び、
まさに「大地を噛みしめるように」育つブドウ。
🧑🌾 3.造り手の哲学が違う

リオハはD.O.Ca(特選原産地呼称)
として早くから整備され、
規模の大きなワイナリーが多く、
品質と安定性において非常に優秀。
一方で、マーケットを意識した
“国際的スタイル”への傾倒も進んでいます。
一方プリオラートは、
同じD.O.Caでありながら、
造り手の多くが“個の表現”を追求しています。
大量生産はせず、
畑も家族単位の超小規模。
彼らにとってワイン造りは
「土地と生きること」であり、
「自分の人生そのもの」。
そのため、プリオラートのワインは
造り手ごとの個性が強く、
一本一本に物語があります。
📌 まとめ:プリオラートは、リオハの“次”に飲みたいワイン

| 観点 | リオハ(高級) | プリオラート |
|---|---|---|
| 味わい | 優雅でクラシック、熟成感が主役 | 果実の凝縮感とミネラルが強く個性的 |
| 土地 | 肥沃な丘陵地、粘土・石灰質 | 山岳地の急斜面、黒い粘板岩(リコレリャ) |
| スタイル | 洗練されたボルドー的 | 大地の力を表現した“自然派芸術” |
| 生産者の姿勢 | 安定供給と品質管理 | 少量・個性重視・土地との共生 |
リオハを知っている方にこそ、
「プリオラートを飲むとスペインワインの見え方が変わった」
と驚かれることが多いのです。
土地の厳しさ、造り手の生き方、そしてグラスに広がる強さと深さ。
プリオラートのワインには、“力強い沈黙”のような感動があります。

