原産地呼称のはじまり
現在スペインのぶどう栽培面積は世界一と言われています。
優れた味わいや地方独自品質を確保することを目的として、スペイン各地方に設けられた統制委員会によってさまざまな厳しい規制措置が取られています。
優れた味わいや地方独自の品質を確保するために初めてワインの規制が始まったのが18世紀でした。
低価格で低品質のワインの輸入や混入を防ぎ、地元ワインの品質を保持するために特別立法が交付されました。
1920年代に入ると特に品質の優れた特定のワインさんちの指定制度が始まります。
最初にその栄誉を受けたのがリオハ。そしてヘレス、マラガなどが指定されることとなりました。
これが原産地呼称制度の始まりです。
7つに分類される原産地呼称
原産地呼称(DO:Denominación de Origen)は、以下7つのカテゴリーに分類することができます。
- ビノ・デ・パゴ(Vino de Pago)
- デノミナシオン・デ・オリヘン・カリフィカーダ(Denominacion de Origen Calificada)
- デノミナシオン・デ・オリヘン(Denominación de Origen)
- ビノ・デ・カリダ・コン・インディカシオン・ヘオグラフィカ(Vino de Calidad con Indication Geografica)
- ビノ・デ・ラ・ティエラ(Vono de la Tierra)
- ビニェードス・デ・エスパーニャ(Vinedos de Espana)
- ビノ・デ・メサ(Vino de Messa)
このように7つのカテゴリーに分類される原産地呼称ですが、弊社が取り扱いするプリオラートワインは②デノミナシオン・デ・オリヘン・カリフィカーダに分類される高品質ワインとなります。
ここからは7つに分類されたそれぞれのカテゴリーについてもう少し詳しく解説していきます。
①ビノ・デ・パゴ(Vino de Pago):単一ぶどう畑限定高級ワイン
特定の村落で他とは際立った違いのある地理的自然環境を持つ畑から生産される個性的な高品質ワインをビノ・デ・パゴといいます。
いわゆるカリスマ性のあるワインとも言えます。
ブドウ畑はDOやDOCに認定されていない地域に属していてもOK。
例えば、リオハのようなDOC地域産だった場合、Vino de Pago Calificadoといった具合に表示がなされます。
②デノミナシオン・デ・オリヘン・カリフィカーダ(Denominacion de Origen Calificada):特選原産地呼称ワイン
DO産ワインの中から厳しい基準で昇格が認められた高品質なワインを指します。
1988年に制定されたカテゴリーで、1991年4月にリオハが認められました。
2009年7月にプリオラートが中央政府に承認されました。
③デノミナシオン・デ・オリヘン(Denominación de Origen):原産地呼称ワイン
原産地呼称統制委員会が設置された地域内で栽培された認可品種を原料として、厳しい基準に基づき生産されたワインを指します。
現在このカテゴリーに分類されているワインは60種類以上。
スペインの高級ワインの中核的なカテゴリーともいえます。
④ヒノ・デ・カリダ・コン・インディカシオン・へグラフィカル(Vino de Calidad con Indication Geografica):地域名称付き高級ワイン
2003年のワイン法で新しく制定されたカテゴリーです。
ある特定の地域や地区、村落などで収穫されたブドウを原料として、醸造・熟成されたワインで、その地域性を表現したものとされます。
現在のビノ・デ・ラ・ティエラに属するワインの多くが将来的にこちらのカテゴリーに昇格する予定です。
またこのカテゴリーで5年以上の実績を積んだ生産地は、DOワインへの昇格を申請することができます。
⑤ビノ・デ・ラ・ティエラ(Vino de la Tierra)
地方ワイン、カントリーワインの総称。
地域名を名乗ったヴァン・ド・ターブルといえます。
ラベル表記は、Vino de la Tierra de の後に生産地の町や郡、地方の名前がつきます。
⑥ビニェードス・デ・エスパーニャ(Vinedos de Espana)
2006年に安価な輸入ワインと区別するために作られたカテゴリーです。
一般のガラス容器だけでなく、パック・イン・ボックスのワインにも使用することができますが、一部の銘醸地域使用が禁止されています。
⑦ビノ・デ・メサ(Vino de Mesa)
格付けされていない畑で生産されたワインや異なる地方のワインを混ぜて作ったワインで、地域名・ブドウ品種めい・収穫年の表示は許されていません。
原産地呼称制度の歴史
低価格で低品質のワインの輸入や混入を防ぐことと地元ワインの品質を保持するため、18世紀にスペインで最初のワインを規制する特別立法が交付されました。
1920年代になるとこの規制基準がさらに強化されていきます。
またこの時期には特に品質の優れた特定のワイン産地の指定制度がはじまります。
この最初の栄誉を受けたのがリオハです。
これが原産地呼称制度のはじまりと言われています。
1970年代に「ぶどう畑、ワイン及びアルコールに関する法令」が施行され、同法に基づき原産地呼称庁を設立。
原産地呼称庁によって原産地呼称(DO:Denomination de Origen)を名乗るために満たすべき条件がいろいろ定められました。
原産地呼称が認可されるためには実に細かく厳しい条件をクリアしなければなりません。
- ぶどう栽培面積
- 地域の境界限定
- 栽培ぶどう品種
- 植樹密度
- 収穫量
- かんがい規制
- ワインについての収量や醸造法、タイプによる使用ぶどう品種、アルコール度数、総亜硫酸量、揮発酸度、官能試験検査など
以上のように細かい基準をクリアしなければ、原産地呼称を使うことが認められていません。