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補助金申請が採択されるために意識するべき7つのこと

9月に申請した第13回小規模事業者持続化補助金(以下、持続化補助金と記す)の結果が判明し、11月27日に採択されました。

弊社も無事申請が採択され、補助金が決定しました。

今後は事業を計画的に行い、その支出に見合う補助金を申請していくことになります。

持続化補助金は、経営計画にもとづいて販路開拓の取り組みや業務効率化の取り組むための経費を補助してもらうものです。

持続化補助金の採択率

持続化補助金は今回で13回を迎えますが、第1回目からの採択率を見てみると次のようになります。

小規模事業者持続化補助金採択率

上図のように採択率は44%〜90%の間で推移しています。

ここ数回は60%前後の採択率で推移していますが、第13回目の採択率は57%です。

採択率57%というのは、やることをきっちりやれば合格するけど、ナメてかかると落ちるということでもあります。

経営計画書(様式2)で気をつけるべき7つのこと

持続化補助金が採択されることが目的ではなく、採択された後にどのように事業に取り組んでいくかが重要です。

しかし、今回はあえて採択されるための「経営計画書(様式2)」の部分に絞って気をつけるべき7つのポイントについて、内容をシェアしていきたいと思います。

  • 文章の書き方を統一する
  • 文章の見やすさ、読みやすさを意識する
  • 数字の書き間違いは絶対にしない
  • 細かいことに言及し過ぎても相手(審査員)は分からない
  • なぜ売上が上がるのか、利益が発生するのかを意識する
  • 顧客ニーズと市場の動向について
  • 経営計画書(様式2)は最大8枚まで

以上の点についてそれぞれ解説していきます。

①文章の書き方を統一する

語尾は意識して統一しましょう。

『〜です、〜ます』で書いていたと思ったら突然『〜である』に変わるなど、文章を読む方からすると非常に読みにくいです。

『〜です、〜ます』で書き始めたのならば、終始「ですます」で統一して書くように心がけましょう。

また、記入時に参考資料等から引用する部分が出てくるかもしれません。

引用する部分については、引用元の書き方をそのまま引用する必要があります。

②文章の見やすさ、読みやすさを意識する

読点でつなげず一文を短くする

一つの文章が長くなりすぎると、読み手にとっては非常に読みにくいです。

ですから文章があまり長くなる書き方については避けた方がよいです。

例えば、下のような書き方は書き換えた方が相手に伝わりやすくなります。

できれば避けたい書き方と修正した書き方

  • 〜〜〜〜〜で、〜〜〜〜〜で、〜〜〜〜〜です。
  • 〜〜〜です。〜〜だからです。そのために〜〜します。そうなると〜〜なる見込みです。

上記のようなイメージですね。

文章が読点で続いていると、読みにくくなります。

一文一文を短めにすることで一気に読みやすくなります。

結論は最初にさっと書く

伝えたい内容が後ろにくるほど内容が相手に伝わりづらくなります。

言いたいことや結論は、まずはじめにサッと書きましょう。

できれば避けたい書き方

  • 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜だから、ーーーーーーーーです。(ーーが結論)

例文を挙げてみましょう。

例文

新型コロナの影響によって中国への食品輸出が制限されて売上が減っていましたが、2023年から規制が緩和されたため売上が回復してきました。

上の文章で伝えたいことは、「売上が回復してきた」ということです。

「売上が回復してきた」ということを伝えるためには次のように書くほうが相手に伝わりやすくなります。

結論を先に書く場合

2023年から売上が回復基調にあります。新型コロナによる中国向けの食品輸出規制が緩和されたためです。

このように言いたいことを先に書くことで、読み手も内容が頭に入りやすくなります。

マイナスな表現は、逆に会社の強みとしてプラスに表現する

基本的に「〜〜できない」とか「ーーーに劣る」という表現はそんなに必要ありません。

もちろん会社としての弱みはたくさんあるけれど、それをそのまま表現するのではなく、

マイナス面をプラスに見せる表現に変える

(◯◯という弱みはあるけれど)それを克服するために、こういうことをします。

「××はダメだ!!!」と声をあげても、相手からすれば「じゃあどうすりゃいいの?」って話ですからね。

それなら「××はダメだ!!! だから△△という風に変えていこう!!」という方が建設的ですね。

③数字の書き間違いはNG

単なる書き間違いでは済まされない

経営計画書(様式2)には、会社事業の営業利益やら今後の売り上げの見通しなど数字を記入していくことになります。

その際に売り上げの見通しを記入する場合に、

書き間違いの例

売上 ー 売上原価(仕入金額) = 売上総利益

5000万 ー 3500万 = 1600万

こんな感じ。

書いた本人は、ただの計算間違い・書き間違いでしょくらいに思うかもしれません。

しかしこの書類を審査する人はどう思うでしょうか?

『この会社はこんな簡単な計算もできない』と思うかもしれません。

『補助金を出しても適当にお金を使われるんじゃないか』と思うかもしれません。

他の部分でどれだけ素晴らしいことを書いていても、数字の書き間違いで減点されるとしたらもったいないですよね。

補助金は、細かく何に使うか決められています。

適当に計算している会社に補助金を出そうとは思わないはずです。

ですから数字の部分については、間違いがないかくりかえし確認しましょう。

④細かいことに言及しても相手(審査員)は分からない

当然ながら補助金の審査員は自分の会社の業種に特化した人に当たるとは限りません。

ですから審査員は専門家ではなくて一般的に中小企業診断士の方だったりします。

ということは経営計画書(様式2)の内容について細かく書き過ぎてしまった場合、読み手に伝わらない可能性があります。

ですから細かい部分について丁寧に説明したところであまり意味がないともいえます。

相手に伝わらないかもしれない細部の説明に紙数を使うよりも全体の説明に使ったほうが良いともいえます。

たとえば取り組む事業がなぜ儲かりそうなのか、その説明をしっかり行なう方が重要だということです。

主張する内容にバランスを振り分ける

  • ★重要なこと(メインの主張) < ◯主張の裏付け
  • ★重要なこと(メインの主張) > ◯主張の裏付け

⑤なぜ売上が上がるのか、利益が発生するのかを意識する

これは計画書全般に言えることですが、事業を取り組むにあたり、どうして売上が上がるのかが抜けてしまった計画書を作成する方が一定数います。

例えば、社長の人脈を駆使して新規開拓につなげることを計画書に書きたいとします。

社長の人脈を駆使して売上に繋げたい場合

私は商社◉◉に入社以来、25年に渡り〜〜事業に取り組んでまいりました。

その後、大手⬜︎⬜︎社に籍を移して海外支社にて20年事業を経験し今に至ります。

こんな感じで社歴を並べて有名企業の名前を出しても直接売上が上がるわけではありません。

しかし、25年にわたる商社での経験やその後20年間にわたる海外経験など、普通はあまり経験できないことです。

ですから社歴を並べるのではなく、商社時代の経験や海外での事業経験が今の事業にどのように活かすことができるのかについて書き込むことで、読み手に違った印象を与えることになります。

⑥顧客ニーズと市場の動向について

ここは自社が取り組む事業について、しっかりと書き込むことで⑤なぜ売上が上がるのか、利益が発生するのかにつなげることができます。

例えば、他業種から化粧品事業に参入する場合について考えてみましょう。

なぜ売れるのか?なぜ儲かりそうなのか?を考える

★メインの主張:化粧品事業は儲かります

↑なぜ儲かると思ったのか?

◯主張の裏付け

◯世界的に化粧品産業が拡大しているからです

ということは?つまり、

化粧品を買う人および金額が増えているから(当社の商品も売れます・儲かります)

◯日本の化粧品輸出が増えているからです

ということは?つまり、

日本の化粧品が評価されて海外でも買う人が増えている(ので、当社の商品も売れます)

◯アジア圏への輸出を企画しているからです

ということは?つまり、

日本の商品をたくさん買ってくれている地域への輸出を考えているため、チャンスが大きいはずです

このようにメインの主張に対してどうしてそう思ったのかに当たる主張の裏付けをしっかりと語る。

こうすることで化粧品のことや、輸出入産業のことを知らない人が読んでも「儲かる理由づけ」として妥当だと思わせる記載がたくさんあるように見せることができます。

⑦経営計画書(様式2)は最大8枚まで

持続化補助金は、申請書を提出する前に一度商工会議所に行き、アドバイスを受ける必要があります。

実際に提出する申請書の中身を見てもらって、修正する必要があればアドバイスがもらえるわけです。

ですので仕上がりが中途半端だったりすると、「ココを修正してください」といった具合で指摘してくれます。

適当な仕上がりで提出しないようなシステムで、書類提出の前にチェックしてもらえるのは大助かりです。

そんな商工会議所でチェックをしてもらう日に、私の前後でこんな人たちがいました。

用紙1枚だけで持ってきた会社A

経営計画書は最大8枚まで記入することができます。

最大8枚となっていますが、8枚いっぱいに書く必要はありませんが普通に記入すると8枚に収まりません。

ですので経営計画書が1枚のこの会社の担当者は、ボロクソに言われていました。

用紙200枚のバインダーに挟んで持ってきた会社B

用紙1枚の会社でビックリしているのに、隣のブースでは申請書類を200枚も書いて持ってきた会社がありました。

当然ながら経営計画書(様式2)は最大8枚までと枚数が指定されています。

どれだけ申請書類に熱い思いを書き連ねて200枚になってしまったとしても受け付けてもらえません。

両極端の会社が私のブースの前後を挟んで面談を受けていました。

どちらの担当者からも聞こえてきたのが、

『決められた様式で書類は準備してください』

というコメントでした。

補助金を受けるための熱い思いを200枚に書き連ねても8枚ルールがあるため8枚に治るように書き直さなくてはいけません。

逆に思いを詰め込みすぎて1枚に収めてしまった場合には、『もうちょっと書けないの?』と思われてしまう可能性が高いです。

このような会社がいることにビックリしましたが、書類の提出前に指摘してくれるこのシステムはありがたいなぁと感じました。

審査する人が読んで伝わる内容を書こう

今回は事業者補助金を採択するための7つのポイントについて解説してきました。

これは実際に私が申請書をゼロから作成した際に診断士から指摘された部分になります。

審査員が必ず指摘された部分のチェックをするかどうかは分かりません。

ですが、診断士の方が「もし自分が審査員をするなら必ず確認するポイント」が、今回ご紹介した7つになります。

ですから精度はかなり高いのではないかと思います。

事業を行う潤沢な資金がある会社であればまだしも、補助金が出ることで新規事業に取り組むことができる中小企業の方が多いと思います。

ということは補助金を申請する会社にとってはできるだけ採択されやすくなるように書類を書き込んでいく必要があります。

これから申請書を作ろうと思っている方は、ぜひ今回まとめた7つのポイントに注意しながら申請書の作成にチャレンジしてみてください。